介護施設や事業の今後を考えているとき、M&Aを選択肢として考える経営者様の中で、
「M&Aについて知識や経験がなく、何から始めればよいかわからない」
「従業員や取引先に情報が漏れないか不安だ」
「仮にM&Aが成立しても、後々不利益を被ることになるのでは?」
「会社のこれからを考えず、強引に進められてしまうんじゃ?」
と、一歩を踏み出せずにいる経営者の方は少なくありません。
長年手塩にかけて育ててきた介護施設や事業を譲渡(売却)する上で慎重になるのは当然のことです。
M&Aは、単に事業や設備を引き渡す「終わりの手続き」ではありません。
長年積み重ねてきた技術、利用者様との信頼関係、そして従業員達の働く環境といった価値ある資産を「未来へつなぐ」ための重要な経営戦略です。
しかし、十分な準備や理解がないまま進めると、M&Aを行う際に事業価値を低く評価されたり、M&A後に現場が混乱したりするリスクがあります。
本記事では、M&Aを安心して成功させるために知っておくべき「基本的な流れ」と、経営者様がしておくべき準備、M&Aを行う際によく疑問として挙げられる、情報保護への観点についても、弊社の支援体制を例に解説します。
目次
M&Aによる譲渡(売却)を選択肢として検討する際、弊社で支援した多くの経営者様から質問いただく不安要素が、共通して3つ挙げられます。
情報漏洩への不安
M&Aを進めているのが途中で従業員や取引先に漏れ、現場の士気低下や取引停止を招くのではないかという不安
専門的な手続きへの不安
「デューデリジェンス」や「基本合意」など、耳慣れない専門用語で丸め込まれ、実際には不利な条件で話が進んでしまうのではないかという不安
事業価値の評価に対する不安
自社の長年の努力や、経営の成果を、数字として評価された時、買い手(譲受先)の企業に正しく評価してもらえるのか、という不安
これらの不安は、M&Aの全体像を把握し、信頼できる専門家のサポートを得ることで確実に解消できます。次章からは、具体的な手続きの流れを見ていきましょう。
M&Aは「買い手が見つかったら即契約」というものではありません。双方の希望条件をすり合わせ、リスクを排除しながら段階的に進められます。
ここでは、弊社で行うM&A支援に基づいた、基本的なM&Aの流れを解説します。
プロセスの名称 | 実施する主な内容と目的 |
|---|---|
①仲介契約の締結 | 仲介会社への正式な依頼と、引き継ぎ希望条件等の整理 |
②買手候補探し・引き合わせ | ネームクリア(社名開示)の判断と、買手候補との初期面談 |
③基本合意書の締結 | 譲渡条件の大枠合意と、買手候補への独占交渉権の付与 |
④買収のための監査 | 買手による売手企業の詳細な調査(財務・法務・事業など) |
⑤譲渡契約の締結 | 最終的な条件合意に基づく契約締結と、クロージング(決済) |
最初のステップは、我々のようなM&A支援の事業者とまず「M&A仲介契約書」を締結することからはじまります。
弊社では、売り手(譲渡側)の経営者様から詳しいお話を伺う時点で、秘密保持誓約を行った上で、まずお話を伺い、その上で仲介契約を締結いたします。
仲介契約の締結後に、円満にM&Aを成約させるために、譲渡希望金額や、従業員の雇用維持、理念の継承といった譲渡に関して希望する条件をすり合わせます。
すり合わせた条件が変更不可になってしまうわけではなく、交渉の進捗や状況に応じて、仲介契約締結後でも、事業や会社のこれからを考えて柔軟に変更することが可能です。
譲渡条件が決定してから、M&A支援事業者が買い手(譲受)候補を調査・探索します。この際、無断で外部に社名が公開されることはありません。
その際、仲介契約とは別に秘密保持契約を締結した上で、買い手候補を探すために経営・財務に関する資料(例:直近3期分の決算書や会社の定款等)を、状況に応じて共有いただきます。
いただいた情報をもとに、匿名の事業概要(ノンネームシート)を買い手候補に案内し、関心を持った企業が現れた段階で、貴社にネームクリア(社名の開示をしてもよいか)の判断をいただきます。
許可をいただいた場合のみ社名を開示し、経営者同士で面談し、条件の確認や交渉をいただく「トップ面談」へと進みます。
トップ面談や初期的な条件交渉を経て、売り手(譲渡側)・買い手(譲受側)双方がM&Aを進める意思を固めた場合、譲渡に関する「基本合意書」を締結します。
この時点で、多くのケースでは買い手候補から1社に絞り込み、独占交渉権の付与を行います。
独占交渉権は、売り手が特定の買い手1社だけに与える権利です。
この権利が付与されることで、買い手は他の候補と並行して交渉されることがなくなるため、安心して次のステップである買収監査に時間と費用をかけることができるようになります。
独占交渉権の期間は2〜3か月程度で、期間を過ぎた場合は別の買い手候補と交渉することが可能です。
買い手候補によるデューデリジェンス(監査)が実施されます。財務状況、法務面のリスク、事業の将来性等から事業価値を精査する、M&Aにおいて最も重要なプロセスの一つです。
このとき、買手が監査を実施するために必要な決算書や契約書などの資料をご用意いただきます。この調査によって、簿外債務などの隠れたリスクがないかを確認し、最終的な事業価値を算定します。
買収監査の結果を踏まえ、最終的な譲渡価格や引き継ぎの条件を確定し、買手企業と「譲渡契約」を締結します。
契約締結および決済(クロージング)の完了後、仲介会社に対して仲介手数料をお支払いいただきます。手数料の算出には、取引金額の階層ごとに一定の料率を掛けて算出するレーマン方式が用いられるのが一般的です。
取引価格等の金額 | 料率 |
|---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円~10億円以下の部分 | 4% |
10億円~50億円以下の部分 | 3% |
50億円~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
買い手候補探しや買収監査において、「なぜそこまでこの時会社の資料を共有しなければいけないの?」と不安を覚えられる経営者の方もいらっしゃいます。
会社の大事な情報なので、当然の不安かと思いますが、これには明確な理由が存在します。
基本として、買い手企業が売り手に確認したいのは「お互いに安心、かつ万全な状態で引き継げるかどうか」です。
事業価値は単純な売上高や利益だけで決まるものではありません。
地域との結びつきや、施設の特色、従業員や理念の浸透度合いといった「見えない資産」も含めて正しく評価するために、経営や現場に関する資料が必要となります。
このような情報を欲しいのは、会社のことを正しく評価するためであり、共有された情報を別の目的(自社事業への流用など)に悪用しようとする買い手は、我々のようなM&A支援事業者側が許容せず、引き合わせません。
情報のやり取りを行う上で、最も懸念されるのが「外部への情報漏洩」です。
これを防ぐため、我々の場合、M&A支援を行う上で安心して進めていただくための体制を敷いています。
秘密保持契約(NDA)の徹底
基本的な流れでも記載の通り、買手候補へ詳細な情報を開示する前に、必ず秘密保持契約を締結します。これにより、法的拘束力をもって情報の外部流出を防ぎます。
専門家とシステムによる保護体制
弊社グループでは、弊社代表をはじめとした専門家や、専門知識を有したパートナーが参画しており、情報の取り扱いはセキュリティ環境下で厳重に管理しております。なお、ご提出いただいた紙の原本資料等は、監査完了後に速やかに返却されます。
現場に知られないためのスケジュール配慮
常に現場に出ている経営者様や、「従業員には折を見て公表するまで知らせたくない」というご事情も考え、我々の場合、買い手との面談や監査の実施については、営業時間外や稼働時間外等、経営者様の条件に最大限合わせたスケジュールを組んで行います。
M&Aは、契約を結んだ瞬間がゴールではありません。買い手企業への万全、かつスムーズな引き継ぎが行われ、事業が安定して継続されて初めて「成功」と言えます。
そのためには、単に機械的なマッチングを行うだけでなく、売り手の「数字に表れない価値」を深く理解し、従業員や取引先への配慮を怠らないM&Aの支援事業者を選ぶことが不可欠です。
M&Aを進めるうえで最初に取り組むべきことは、「いくらで売れるか」を予測することではありません。まずは「自社がどのような価値を持っているのか」を客観的に知ることからすべてが始まります。
「まだ譲渡すると決めたわけではない」「まずは自社の価値を知りたいだけ」という段階であっても、早い段階から専門家に相談し、情報の整理を始めておくことが、将来のより良い条件での交渉やスムーズなM&Aにつながります。
大切な事業と従業員の皆様、何より自分自身の未来のために、まずは一度、現状の課題や不安を整理し、準備を行うことが肝心です。
執筆パートナー | ウィザーズグループ |
パートナー情報 | コスト削減やM&A等を通し、限りある経営資源を最大化する「実働」コンサルティング集団 |
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